5月17日 田代平

 常連の山仲間が、1泊し前夜はコップ片手に楽しく過ごした。
今日は守門岳に登る予定でいたが、生憎の天気のため、田代平に行く事になった。
田代平入り口でそれぞれが車を停め、歩き出す。
生憎の雨は承知の上であったが、やはり気分は良くない。
気温は高めで、雨具の下に厚着をしてきた為か結構暑い。
残雪も残り、緑とのコントラストが美しく、皆感激していた。
道端にはフキノトウが沢山あり、道路の法面にはショウマ類や、ショウジョウバカマが見られた。
岩のある所には、アズマシャクナゲやユキグニミツバツツジなども見られた。
沢を越え、登りに差し掛かると、浅草岳の山頂がたまたま見えてきた。
太郎助山や檜岳も見ることができた。
毛猛連山や、大鳥岳、赤柴山、日向倉山・・など、数々のマイナーピークを踏んできたが、昨年それを終え、
今年はいささかトーンダウンしている自分を自覚する。
しかし、色んな人の話を聞いたりしているうちに、又何時か・・と思わずにはいられない山塊である。

昨年と同じく、木の根峠方面から登り、ショートカットする。
昨年の今頃より幾分雪の量は多いように感じる。
杉の造林地を抜けると、素晴らしいブナの大木の原生林が現われた。
KさんとFさんは無雪期に八十里越え踏破やその他で何度か来ているが、Hさん御夫婦とMさんは初めてである。
今の新緑の残雪期には、私を除き初めてである。

緑は確かに良いものだが、緑だけではむんとしたいきれのようなものを感じてしまう。
林床に残雪が残る事により、その押し付けがましい緑は緩和され、透明な無垢な空間が生まれてくる気がする。
いくら心が荒んでいても、その瞬間、胸の中にその空気が入ってくるのを感じてしまう。
数百年の重みを、余すところなく見せつけるブナの原生林。
残雪と新緑のコントラスト・・・何が美しいのか?
私は、そこにある空気の美しさを感じてしまう。

・・・歩いていくと、突然視界が開け、田代平が現われた。
植物の道標があるところでは木道が現われていた。
ここで、しばし昼食休憩とする。
今まで雨だったが、不意に空は青空さえ覗き、烏帽子山のピークを見ることができた。
30分ほど休憩すると、雨が又降りだし、予報通りの天気となった。
雨降りとなった田代平をあとにし、新緑と残雪の中を下る。

私達が去ったあとも、そのブナの大木はそっけなく雨の中を立ち続け、うだるほどの日照にも耐え、
生き続けるのだろう。
何処かに出掛け、自分をアピールするでもなく、田代平でしか生きられない。
しかし、それを苦労とも思わず、生き続けている。
私はそんなことを考えながら、林道を下っていった。

田代平入り口ゲートには、やはり2時間要した。
雨の中の歩きであった。喜んで頂けたであろうか?
往路2時間30分  昼休憩40分 帰路2時間強

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