大雲沢の実践スキー机上レッスン(Q&A方式)
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.はじめに

 SAJ指導員、TAJテレマークスキー指導員 浅井による、実践スキーに関する記事を記載したいと考えました。
 尚、私浅井は特別な戦績もない、一介の指導員であることをお知らせしておきます。
 検定や資格などに拘らず、スキー場の難しい場面やオフピステの攻略法など、スキー歴50年、指導歴35年の経験をもとに書いていきたいと思います。
 今回は、代表的な質問(私個人が勝手にテーマを決めたものです)を載せましたが、あとは皆さまからの質問にお答えしていきます。
費用は無料です。お気軽にメール(ページの巻末部分にアドレス記載)ください。

アルペンスキー編

Q1、小回りターンが苦手です。

A1、
スキーの方向と体が一緒に回ると次のターンの入りが遅くなります。下半身(股関節の捻り運動)と上体の逆ひねりによって、力が溜められ、それを開放することで次のターン始動が容易になります。

A2.
ストックワークを積極的に使い、ターンの始動に積極的に突いて入りましょう。
 
A3,スキースタンスは幾分広めにとることで、ターンの入りをスムーズにします。



Q2、雪質によって滑り方は変わりますか?

A1,
まず、雪質以前に基本的なアンギュレーション(くの字姿勢または、外向傾姿勢)による、外足過重が適度であること。足の踝の真下に重心がある事などが、ある程度できている必要があります。
 
@新雪・深雪

 下地が固い斜面であり、雪が乾いていれば特に意識なく滑れると思います。下地が柔らかくその上部に数10cmの新雪がある場合は、スキー幅をやや狭く取り、足首が伸ばされぬようしっかりと曲げます。その上で気持ち踵寄りに過重ポジションを置きます。ストックの構えを深く取り、正確にストックでリズムを取りましょう。尚、踵寄りの過重ではありますが、上半身Hが起こされないようにしましょう。
 深雪の場合は、軽い雪や重い雪などいろいろですが、斜面に対し背骨の軸を垂直ではなく、起こし気味にセットする必要があるでしょう。この場合も、より正確なストックワークが求められます。また、深い雪であることからストックの石突きは深く差し込んでしまうと内傾軸が傾きますのでほどほどにしてください。あとは、自分の中でリズムを意識し、リズムよく滑りましょう。

A湿雪・ザラメ雪

 春先の新雪は大陸の有害な物質が含まれたりし、ブレーキング要素が大です。
 ほんのわずかな時間のみ滑走性が良くなるワックスをインターネットで求めることができるらしいですので、滑走性重視の方はそちらをお調べください。
 雪山に慣れてくると、雪質もおおよそ想像がつくものですが、転倒防止に際し、ダブルストックを常に使える体勢で滑走するのが良いと思います。あと、下だけを見て滑っていると首が傾き、重心が前方向になりやすくなります。それにより、ブレーキング雪に遭遇すると、よりつんのめりやすくなりますので、頸椎はまっすぐに保ちながら滑走するようにしましょう。また、明らかにブレーキ雪と判断できる場合は、あらかじめ踵過重で転倒予防もできるかと思います。
 ザラメ雪は、エッヂをある程度立て、雪に壁を作り、そのバンクで滑るように意識します。また、過度な幅広のスタンスはバランスを崩しやすいので一足を意識するように操作してください。

B固い雪・アイスバーン

 適切な外向傾を意識した方が無難でしょう。なぜかというと、内向(スキーのトップ方向の一気に体を回してしまう様)した場合、スキーのエッヂは割と立ちやすくなります。外向傾を意識することで、内側スキーの内エッヂは適度に緩み、角付がフラットに近づきますが、決して雪面とのコンタクトが緩むわけではありません。これにより、滑走面全体で雪を撫でながら削り取ることが可能、すなわちブレーキング要素が増すわけですね。
 特にターン後半では、胸の外向きを意識することで、次のターンに極めて自然に入れることとなります。また、これらの事をスムーズに行うためには、やはり的確なストックワークが必須となります。

Cコブ斜面

 山スキーの現場ではほとんど見ることができない条件です。しかし、スキー場の天然コブ斜面を攻略できると、スキーのスキルが今一つ上のレベルに達することができます。なので、少しだけ触れておきます。
 まず、A1のように、基本的な姿勢の外向外傾が最も大切です。これにより、一定の押ずらしが可能となり、安定した横滑り的なターンを意識しましょう。また、上半身の適度なブロッキングも大切です。常に脚部の伸ばし押し出しを意識し、運動を止めないようにしましょう。

Dクラスト

 山スキーで最も厄介な雪質です。柔らかいクラストであれば、スキーに壁を作り、体全体でバンク角を意識することも有効でしょう。しかし、分厚いブレイカブルなクラストはそれすらもできない場合があります。それでも何とかターンしたい場合は、ジャンプしながらワンターンを仕上げるという手段もあります。
時間は掛かりますが、キックターン&斜滑降が無難な所でしょう。


テレマークスキー編

Q1、山スキーでは、なかなかテレマークポジションで滑れず、アルペンターンを多用してしまいます。

A1、
テレマークスキーは自由度の高いスキーです。よって、アルペンターンで滑走するのもありだと思います。しかしながら、踵がフリーになっているので、前過重になり過ぎると危険な転倒を招くことがあります。後ろ足にもしっかり荷重した正確なテレマークターンもできるようにしましょう。

Q2,テレマークスキーは難しそうで、やってみたいと思っているのですが自信がありません。


A1、
バランス的には難しい部分はあるかもしれません。しかし、ターンの導入や2本のスキーを有効に使うため、アルペンスキーよりも有利な部分も多々あります。また、大変楽しいのがテレマークスキーです。

Q3、テレマークスキーは疲れませんか?


A1
アルペンスキーに較べると筋力的に疲れます。ただ、これも、しっかりと基本を学ぶことにより、合理的に滑れることも可能です。
運動要素が高いので、体力アップには最適です。疲れないスキーなど存在しません。

Q4,テレマークスキーをやる意義って何なんでしょうか?

A1
 スキーは本来、テレマークスキーに似た、踵が上がるタイプでした。それが踵が固定され、強くスピーディーに滑走できるスキーに生まれ変わったのがアルペンスキーです。踵は上がる、という「異質なスキー」ではなく、スキーの原型なのです。いわば、基本のそのまた基本に立ち返るという部分で、実に魅力的なスキーと言えます。
 

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