2009年7月1日 守門岳小烏帽子

 家の中の仕事を終わらせ、2時にシロと出かけた。
 小雨がぱらつく大原登山口には誰も居ない。片手にハンマーともう一方の手には異型鉄筋棒を杖代わりにし登山道を歩き始める。登山道の取っ付きは、今年度のワラビ園が閉園され、全て綺麗に刈られていた。来年のためにも、一旦刈り取ったほうが良いのだと言う。
 小雨が降っていたが、最初から雨具は着る気もなく、のらりくらりと歩いていく。登山口の駐車場には車もなく、この時間なら登山者に遭うこともないだろうと、シロを離してフリーにしておいた。
 2週ぶりの山歩きであったが、たぶん体重も重く、最初から息が上がってしまった。途中でч梠ホをしたりし、1時間以上掛かって見晴らしに着いた。見晴台からは時折明るくなったりすると山並みが見えることがあったが、直ぐまた降ってくるという慌しい雨だった。
 水場は全て雪が消え、涼しそうな景観となっていた。ヒドを登っていると、ヒメシャガが現れ始めるが、もう終わりに近いものばかりだ。代わってニッコウキスゲが良い感じに膨らみかけてきていた。
田小屋分岐の木製の道標は、心ある人が綺麗に石で向きを調整し設置してくれていた。ありがたいことである。
 田小屋分岐を過ぎると雪が100mほど残っている。雪消えの早かった所では既にニッコウキスゲが幾つか花を付け始めていた。雪を渡りきると、ショウジョウバカマやミツバオウレン、イワカガミなどの定番の早春の花達が未だ咲いていた。
小烏帽子の直ぐ下の平らな所に二の芝と言う草付があり、そこに池塘が数個あるのだが、そこへの立ち入りを防ぐためロープが施されているのである。これらの管理の責任の所在がはっきりしなかったため、幾冬か撤収しなかった年があり、その為に鉄筋棒が幾本かグニャリと曲がってしまっていた。予備の鉄筋棒を使うことになったが、それでも棒の数は不足していた。木や使い古しのイボ竹などで、何とか凌いで格好にはなったが、あと10本くらいは欲しいところである。
 作業は終わったのは、午後4時半を大分回っていた。7時までに登山口に着けば良いと思っていたので、あまり焦ることはなかった。水場から下降し、山菜採りをすることにした。夥しい草はモミジカラマツでうじゃうじゃと生えている。これが食えたら良いだろうが、たぶんキンポウゲの類なので毒素はあるかも知れない。ウルイやアザミなど、思った以上に収穫できた。この時期に山菜が採れるのは、昔なら不思議でもなんともないが、今では貴重である。
 見晴台に着き、足を止めると大雲沢側に僅かにピンク系の色合いがあるのを確認した。もしかしてヒメサユリなのか!?という、居ても立ってもいられない心境になり、双眼鏡でもあれば確認できるのに・・・と歯がゆかったが、あそこの近くまでだったら何とか薮を漕げば確認くらい出来るだろうと、ザックを置き薮に突入した。最初は素直な薮だったが、ガレ場の所はシソ科の植物やヒメヤシャブシなどが繁茂し、歩き難い。それにやはり薮は疲れる。
 結局、咲いていたのはヤグルマソウの花であったようで、赤く見えたのはシモツケソウだったようだ。ここをまた折り返すわけだが、目的の所に向かって動いてきたという自覚はあったのだが、なんだか変な位置に来たようだった。大分見晴台から下の方にへつってきたようで、薮の中を登り返す事になってしまった。
 存在・・・、生き物としての存在。僅か4〜5時間のプチ山作業&山菜採り&薮漕ぎであったが、なんだか嬉しく、守門岳を楽しんだという充足感に満たされていた。

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