2009年4月8日 守門岳バリエーションルート(参考:守門岳25000地図)

大雲沢ヒュッテ7:05 1006.8mp9:10  1177.2m10:10  1423m駒の神12:05  守門岳13:05 大雲沢ヒュッテ15:20

 バリエーションルートとして、長年やってみたいと言うルートがあった。熊狩りや、トレッキングなどで何回か訪れている下黒姫沢右岸尾根若しくはサッパタ沢左岸、またはエラオトシ沢左岸尾根を用い、黒姫から守門岳の稜線に取り付き、1423p→1527p→守門岳と環状尾根を歩くルートである。ある本で、この稜線を用い黒姫まで至ったと言う記録が載っていた。しかし守門岳に至ったと言う記録は現在私は把握していないし、少なくともネットには無い気がした。
 当初、本日は川地の山塊の挑戦と考えていたが、相方のHさんの都合や私の都合などを考え、急遽決定したのである。朝は7時ごろの出発としていたので、最悪通称サッパタ沢ガッチ1177.2mでも良いかと考えていた。最高に引っ張っても、駒の神1423mか袴腰1527mまでと考えていた。袴腰1527mから守門岳山頂までのナイフエッヂは正直自信がなかったし、無理だろうと思っていた。ただ、行けるかも知れないとの結論に達した場合、用具としてスコップ、ロープ、鉈は用意していた。鉈で途中のルート上で木を切り、それにロープを結んだりステップを刻んだりと色々個人的に考えてはいた。 

 Hさんと大雲沢ヒュッテから車道を歩き、福田石材の構内へと進む。大雲沢ヒュッテを出たのは7時5分。シロを伴うか伴わないかを迷ったが、連れて行くことにした。クレバスへの滑落、稜線からの落下など、危険を予知しないシロを連れて行くのは心配だったからである。ただ、シロは執拗に吼えてアピールを繰りかえし、ついに根負けしたと言う形になった。
 福田石材から山の神に続く林道を歩き始めるが、凍っていて割りと歩きやすく期待が持てた。だがしかし、歩いて数100mでぬかり始め早速カンジキを付けた。
 林道の標高500mくらいから813を目指すが、3月に比べると雪は少なく、ところどころ藪を歩くしかないと話す。813mに近い地点は既に藪となっていて、その右の尾根に取り付いた。万が一の為にと多少荷は重くなっているせいか、ペースは上がらない。雪は少なく、斜面は急になっていて次の目的地1006.8mは遠く感じる。
 9時10分に1006.8mpに着いた。ここで大きな休憩をとる。休憩後60m下り1099mへと向かう。1099mpは地元でジャクズレガッチと呼ぶ場所だ。25000図ではこの下流をテヤクズリと銘記しているがこちらではそう呼ばない。1099mから再び少し下り、、また70mほど登る。1177.2m手前からは下黒姫沢や黒姫がよく見え、眺望はよい。1177.2mp通称サッパタ沢ガッチは大きな雪提が形成されており、その左下を捲きながら通過する。
 1177.2mから50m下り、再び今度は80mの登り返しとなる。下から見ると一見険悪そうに見えたが、行ってみるとさほどではなく1221mに着いた。1006.8mからここまでの稜線状態は、4月初旬の降雪で多いところでは50cmほどまだあり、割れ目を覆っているところがあり、2人とも何度か足を踏み抜く箇所が多かった。雪は覆っていても、凹み具合などで大方割れ目の位置の見当はつくのだが、それでも解らないところは多かった。
 1221mから先は地図上では尾根が2つに分かれ、地図上の右の尾根は比較的歩きやすそうになっているが、現実は右側尾根は雪庇が張り出し通れなくなっており、八方塞状態の地形となっていた。やむなく左の急な斜面を下り右側尾根に向けてへつることにした。Hさんはするすると下っていく。気をつけてくれやのぅ〜と注意を促す。私はブッシュに掴まりながら下ろうと思っていたが、さらに斜面は急になり、Hさんのステップを使いへつった。足は長靴であり、ストックやピッケル代わりの棒も無いためここは恐怖で腰が引けた。
 後はしばらく危険箇所も無く淡々と1154mを通過し、主稜線へと進めた。ただ、今日はやはり4月初旬の雪がたっぷり残っていて、途中壷足で歩いていたのでかなりぬかることとなってしまった。たがいに、先頭を交代しながら稜線を目指した。この時点で、稜線に出てからその先は何処に向かうのかは決めていなかった。Hさんに、とりあえず駒の神1423mまで行きたい旨伝えると、反対しなかった。途中で、雪の状態が柔らかいのでナイフエッヂ通過は可能かも知れぬと太目の木を1本切らせてもらう。
 駒の神には12時10分に着いた。ここまで既に5時間5分経過していた。駒の神から袴腰1527mまでどのくらいの時間が掛かるだろうと言う話になった。私は20分か30分で着くだろうと言うとHさんは、そんなに早くは着かないと言う。結果的に32分ほどで着いたが、2人ともさほど狂いはなかったと言う事であろう。
 袴腰1527mに着くとトレースがあった。極少ないが、袴腰まで稜線散歩をする人も僅少ではあるが把握はしていた。しかし、まじまじと昨日のトレースに出くわすとは・・・。トレースはたぶん2人であろう。行きは壷足で行き、帰りはカンジキでいったものであろうか。
どうする?とHさんに聞くと、歩いた跡があるし・・・・、と彼独自の意思表示を受け、行くことに急遽決定した。私が先頭で歩いていく。確かにナイフエッヂではあったが、トレースもあり、風もほぼ無風で雪も硬くなく、以前は大雲沢側に滑落するとかならず生きては帰れないと言うイメージがあったが、今日は滑落してもどこかで止まるだろう・・と言う感じに見えた。ただし一緒に雪崩れれば難しいだろうと思う。北側斜面はやはり急ではあるが、1149あたりはかなり平らな地形となっているため、恐怖心はあまり無い。途中でシロの画像を撮ったりする余裕もあり、割と恐怖感は無かった。守門岳には1423m駒の神から約1時間で着き、歩き始めから6時間を要し守門に着いた。
 山頂では風があり、ゆっくり寛いでいるHさんにもう少し下ってから休もうと言う。山頂までたどり着けば、下山は大原スキー場に下ることとした。風が無いところで大休止とした。残りの握り飯を食べたり、シロにドッグフードを与えていると、下部に登り返しをしているスキーヤーを発見した。守門岳と青雲岳の鞍部から綺麗にターン弧が描かれている主であろうと察する。近くまで近寄って確認すると、魚沼市でスノーボードを中心としたバックカントリーツアーの主宰者Nさんであった。少し話し、我々はラーメンで寛ぐN氏と別れ先に下った。
 田小屋尾根に差し掛かる頃、Nさんがボードで下山しながら話しかけてきた。どうも我々の辿ってきた行程に疑問を持ったらしく、再度確認していたのである。犬は強いねぇ〜と我々でなく、シロが褒められたようである。ちなみにシロなど、今日のルートなど散歩の世界だ。それにしてもこのNさん、相変わらずエグイ雪崩れた跡のような斜面に向かって滑走を開始し、あっという間に下の平な斜面を滑っていた。
 2人とも、久々の長距離で、足がだるくなっており、なるべくショートカットしたルートを選び下に着いた。今回は袴腰から守門山頂までの融雪期歩きを経験することが出来たし、1221m付近の通過も初であり、十分満足の行く山旅であった。今回は車はまったく使用せず、食料代もゼロ、全てゼロだが凄く満足のいく山旅ができたと思う。無風、雪の硬度、が最も適した状況にあったからゆえ成し遂げられた山旅だったのだろう。

1099m付近 1177.2m手前
1177.2m手前の斜面のシロ 1177.2m
目指す1221m 1221m北険悪p
主稜線へ 主稜線に取り付き、歩いてきた1000m台稜線を仰ぐ
主稜線より至る1423m駒の神へ 駒の神1423mから袴腰へ
袴腰1527mから守門岳山頂への稜線途中 ナイフエッヂ終盤から袴腰を振り返る


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