9月28日 未丈ヶ岳

 泣き沢登山口8:20  赤い橋(三又口付近)8:35  974p9:30  発9:35  1204m10:20
山頂10:55   山頂発11:15   泣き沢登山口13:45 登り2:35  下り2:30

 未丈ヶ岳登山は10年ほど前に1回と、2003年5月に前毛猛〜銀山平縦走時に通過して以来の未丈ヶ岳計3回目となる。
この登山口はちょっと変わったことになっている。奥只見ダムへ行く際にシルバートンネルがあり、その途中にナキ沢待避所があるのだが、そこの扉を手で開けて入る仕組みなっているのだ。
初めて登ったときには、観音開きの扉であったが、今はシャッターである。トンネルの向こう側は一帯が平地となっていて、車の置き場スペースは割りととれる。既に、6台ほどの車が停車してあった。
 これから出掛けると思われる60才くらいの男性が、私の山笠と長靴の格好を見て『キノコ採りかい?』と話しかけてきた。『山です』と答える。一方私は、川ですか?と聞く。『今日は最終日だからね』と男性。
土日を利用して釣りを楽しむ人にとっては、昨日と今日が渓流釣りの最終日となるのだ。10月からは岩魚などの渓流に生息する魚は一斉に禁猟となる。
 駐車場を後にし登山道に踏み入ると、アカソなどが繁茂しあまり一般登山道らしくない厭な感じである。
だが、そこだけであり、後は軽快な渓流に沿ったウオーキングに最適な歩きとなる。
ナキ沢(オソノ沢)を数回渡渉し、黒又ダムに流れ込む黒又沢の赤い橋を渡り、渡渉はこれで終わる。ナキ沢およびその支流の渡渉は3回あり、それらは川を渡渉する。渡渉に際しては現在は水が少なく、登山靴でも十分である。
 赤い橋を渡り、いよいよ登りとなる。少し登るとヒメコマツのある尾根となり、それが延々と続く。右手奥には黒又沢の源流が見え、沢登の対象としても美しそうな沢である。
尾根を登っていくと、正面の遥か先に未丈ヶ岳が見えてくる。右手奥には、越後駒ケ岳と中の岳が見え、既に中の岳は白い化粧を施していた。
同じような地形を繰り返し登ったり平地になったりしながら、徐々に高度は上がる。
やがて、上部が開けてきて、974pに着く。平成元年に病死した登山者の慰霊碑がある。ここから折角登った高さを少し下ることになる。900mが鞍部となる。
最初は気持ちの良いブナ林の登りで爽快に登っていく。徐々に斜度は増し、息も荒くなる。
斜面の途中で先行者6名が休んでいた。人に会えた安心からか、そこから先はぐんと疲れが増した。
途中に1204mと記された小さな標識がブナに括り付けれていた。今までここ数日の守門、浅草のペースであれば、あと30分位で着けるだろうが、今日は距離があるし、とっくにタイムトライアルは捨てている。ただ、少なくとも2時間30分程度で登りたい。
 登山道は、大きなブナはなくなり、少し湿り気を帯びた赤土に変わってきた。その後少しガレ場があり、上の平地を抜けると小さな山頂へと着いた。2時間40分で着くのと2時間35分で着くのとでは、イメージががらりと違う。何とか最後は頑張って35分で帳尻を合わせた。
 午前11時近いので、裏の草原で昼食を摂る事にし、チシマザサの薮を潜り抜け草原に出た。草原散策をしてきたのであろうか、下から御夫婦らしい男女が登ってきた。『大鳥池に行って来たんですか?』と尋ねてみた。『いや、ただ、様子を見てきただけです』という。私も草原の中の踏み跡に沿い、下の方まで行ってみた。踏み跡を辿っていくと、矮生したミズナラの中へと向かっている。ミズナラの薮の中を見ると、相当古い道形は残っていた。ただ、周りの木がかなりの勢いで薮化が進んでいて、とても今日は行く気になれない。
大鳥池方向を眺めると、懐かしい大鳥岳や赤柴山の稜線が良く見えた。
 引き返し、草原の真ん中の平らな石に腰掛け、弁当を食べ始める。正面からやや右方向には、奥只見丸山スキー場の第4ゲレンデが丸見えだ。もう少し日が差して明るければ景色も素晴らしいものになったであろうが、暗い景色はいまひとつぱっとしない。
 弁当を食べ、寒いので上だけ雨具を着込み、出発する。山頂から5分も下らない所で、斜面途中で交した中高年パーティーに会う。『あとどのくらい?』と御婦人が聞くので、あと3分です、と笑顔で答える。笑顔なのでちょっと信用して貰えないようだったが。
下りは、未丈ヶ岳から日向倉山を経由し銀山平に下った2003年を思い出しながら、ゆっくり下方へと降りていった。
距離がそこそこあるので、下りも登りと大差ないくらいの時間が掛かった。
一番最初に未丈ヶ岳に登った時は、さしたる印象もなかったが、今日改めて登ってみると、味わいのある山旅が満喫できる山だと感じた。
『美しい渓谷美を眺め、ヒメコマツのたおやかな尾根を登り、尾根の天辺であらためて岳の大きさを正面に据え、そしてそれに挑むべく斜面に入れば、そこは幾百年もの時間を経過した原生林が立ち、登山者を迎えてくれる。登れど登れど登山者の罪は消えず、しかし、やがて罪は許され頂上の神は手を差し伸べてくれる・・・・』こんなイメージ風に感じた。

最後の渡渉は橋(黒又沢)だと思う。 橋の下の美しい渓流@
渓流A 尾根途中からの未丈ヶ岳(うわっ、遠い・・)必ず出るだろうこの言葉。
900鞍部から少し行った所のイイ感じの登山道 左に同じ
山頂裏の草原 草原からの毛猛〜未丈ヶ岳への稜線
一部の人には憧れの稜線です。

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