5月8日 守門山塊烏帽子山

朝5時30分に山仲間5名と私の計6名でムジナ沢橋の所から、黒姫橋に向けて歩き始めた。
この時期には珍しく、放射冷却現象なのか雪は凍っている。
黒姫林道は、かなり雪が解けてコンクリートが露出している。
国民宿舎に供給している水道タンク近辺からは、かなり杉の植林がなぎ倒されている。
タモ沢から「アイ」が出たのであろうか。
今までにこんな光景は見たことが無かったが、1年毎にそれぞれに風の具合や、
色んな関係で雪崩が起こったのであろう。
 下黒姫沢の雪消えの具合が心配されたが、一箇所の渡渉をしたのみであった。
もっとも、渡渉せずともスノーブリッジがあり若干の藪湖ぎをすれば可能であった。
あとは、雪原が続き、快適に歩き、程なく沢の源頭近くまで辿り着いた。
ここまででほぼ1時間なので、朝食休憩とする。
残雪にブナの新緑が映え、心が洗われる気がする。
下黒姫沢源頭から、上黒姫沢方向に進路をとり急登を登り、広い尾根に取り付く。
ここでも、ブナの原生林があり、素晴らしく緑が浮き立っている。
まさに命の輝き、・・「生」なる美しさである。
歪んだ、自己の心のひとつひとつの細胞に若い緑のエネルギーが侵入してくる感じがする。
特に下黒姫沢源頭部と上黒姫沢に挟まれた、緩やかな尾根、
850mから900m付近のブナの原生林と残雪のコントラストは、瑞々しい息吹のエネルギーを感じさせてくれた。
素晴らしい景色を堪能したあとは、1030mの中段へ向けての急登となる。
全員が中段に着き、一息入れる。
休憩後、駒の神ピーク(1425m)と1328mピークの間付近を目掛け、登る。
稜線の景色は素晴らしかったが、気温が高く、春霞みとなっていて、飯豊山塊がかろうして見えるのみである。
勿論、こちらから見る前衛の山塊としての川内は丸見えである。
青里、矢筈、毛無山・・など、達成感を求める岳人の目指す山々がせいを競い合っている。

適当な所から、守門岳袴腰と烏帽子山の鞍部付近目掛けてヘツリを開始する。
ヘツリの開始位置、タイミングなど、私の判断にミスが有り、少し思っていた時間より時間を要した。
袴腰〜黒姫稜線を何とかトラバースを終え、袴腰〜烏帽子山間の稜線に着いた。
しばらくは、平らな雪渓歩きが続くが、いよいよ藪が迫ってきた。
マンサク等の木が多かったが、所々イヌツゲ等のしつこい藪があり、クロヅルのつるが辺りを覆っている。
クロヅルのつるにザックを羽交い絞めにされ、思わず怒声を上げる。
しばらくチャレンジを続けたが、すでに5時間以上経過しており、協議の結果、ここで撤退と決まった。
烏帽子山山頂はすぐそこに見えるのだが、強烈な藪が阻み、およそプラス2時間は必至と思われたからである。
引き返し、丁度良い平らな所での昼食となった。
目の前には立派な登りかえしがでんと構え、ハード登山と銘うっての日であったので、
皆がアルコールは持参していないようであった。
40分ほど、ランチタイムをとり、重い腹を引きづりこの日最高ピーク駒の神に着いた。
本日の最高ピークの1423mという事で、皆それぞれに記念撮影などをする。
守門岳山頂には幾人かの登山者が確認された。
登ってきた所を下るのであるが、黒姫登山の際の斜面を下るべきであったと反省する。
下りに難所を過ぎ、あとは新緑と残雪のコントラストを楽しみながら下った。
目的の山までは、至る事が出来なかったが、今までにない景色を見ることができよい山行であった。

コースタイム概要
ムジナ沢橋袂5:30   下黒姫沢源頭6:25  1030m中段7:30    発7:40
稜線8:35   袴腰〜烏帽子間稜線1300m付近9:40   烏帽子方向稜線1296m直下撤退10:35
烏帽子山〜袴腰間稜線内1250m付近11:10  発11:45   駒の神13:00  ムジナ沢橋袂15:30

下黒姫沢源頭部から登りへ 袴腰〜烏帽子山間鞍部からの守門岳の背中
900m付近のブナの原生林と残雪(下段) 帰路途中の沢の源頭で最後の休憩

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