7月25日 入塩川〜守門岳〜大原口

コースタイム

入塩川登山口9:30  山の神9:45  滝の上10:15  沢最終水場10:30  三角点10:35
〆掛の小屋10:50  雨晴ブナ林開始部11:10  雨晴清水11:40  雨晴清水発11:55
雨晴峠12:10  深谷カッチ12:40  中津又岳12:50  大岳13:05  守門岳山頂14:10(4:40)
見晴台15:15  エデシ尾根取っ付き15:40  守門岳大原口16:05(1:55 計6:35休憩込み)


5年前に吉ヶ平から八十里偵察を行ったのだが、結局その日は道が解からず、諦めた。
その日、時間も中途半端だったので、入塩川から雨晴峠まで行ってみることにした。
その時の幽玄なブナ林をまた見たくなって、平井氏を誘い、行く事にした。

朝、仕事の段取りをつけて大原口に車を回し、入塩川に向かった。
天気予報は曇りと言っていたが、霧雨が降っており、こんなパターンはずっと1日こんなだろうと予想していた。
入塩川の入り口は道路工事が行われており、少し上の商店脇から入った。
5年ぶりの林道は、なんとなく以前より改良されたようである。
登山口手前の避難小屋は今でもそこに有った。
所々に庭石のようなものが置かれ、ここでキャンプをする人も居るのだろう。
昨今、居住性の良いテントが有るが故、こんな小屋に泊る人は皆無であろうと思う。
登山口には大きな胡桃の木があり、鬱蒼としている。
身支度を整え、平井氏は案内板を眺めているが、私はなかなか準備が出来ないで
もたもたして待たせてしまった。
平井氏は、上下とも雨具を着込んでの出発だが、私は暑さが厭なので雨具を着ないで歩き始めた。
10日以上運動らしい運動はしていないので、僅かな登りでさえも汗が出る。
幾度となく沢を繰り返し渡り、15分くらいすると、山の神と書かれた祠があった。
ここで皆、安全登山を祈り、又、家内安全やあらゆる願いを山の神に願うのであろう。
山とは元来人間にとって畏怖感があるものであり、近寄り難い存在であるのだ。
そこに神を見出し、神木なるものを設けたり、巨石や巨岩に神を奉ったのである。

平井氏は、私の事など気にもとめず、前方に気配さえも無い。
こちらは息を切らして坂を登りきると、無言で居たりするので、ギョッとする事もままある。
小1時間ほど歩くと、沢は大分狭くなり、源頭に近い感じになってきた。
この先は雨晴清水まで水は無いとみえ、水場となっている。
これからようやく登りになる感じである。
一息して直ぐの所に、三角点が有り、綺麗に整備されている平らな地形に出た。
そこから15分ほど歩き、〆掛の小屋が現われた。
5年振りの再会である。中に未だ缶詰が有るとの平井氏の言葉だった。
この辺の小屋付近は、杉の造林地で有り、昔はこの辺に飯場があったのであろう。
大穴沢線の中津又岳に続く山道や、この入塩川登山道も、
かつては林業の作業道として使われていて、それを登山道として復刻させたものではないかと思う。
 造林地を潜り抜けるように登山道は配置され、やがて、雨晴ブナ林の道標が現われた。
生憎の天気のせいで、ブナ林の周りはガスに覆われ、それが一層神秘的に見える。
一見原生林風であるが、ブナの大きさから考えると、完全な二次林に間違いない。
林床にはある程度の空間が残り、まるで間伐されたような感じではあるが、その痕跡は解からない。
樹冠を見ると、ほどよく鬱閉されているので、光が林床まで届かないのかもしれない。
30分間、延々とブナ林の幻想的な世界をひたすら歩く。
 歩き初めて約2時間、強烈な空腹感に襲われた頃、雨晴清水に到着した。
時間も11時半を回っており、昼食をとるものとする。
初めての試みで、イカの塩辛を握り飯の具にして握ってきたのだが、「いける!」。
あっという間にでかい握り飯を2個、胃に収めた。
15分ほど休んだ後、さらに15分徒歩し、雨晴峠に到着。
5年前にはここまでで2時間ジャストで来ているので、それより40分も余計に掛かった事になる。
雨晴峠からは稜線歩きとなるのだが、このガスでまるで見えない。
心の目も曇りがちで一層何も見えない。
所々、眺めるに最適な場所が整備されており、ここで守門川を眺めれば最高なのであろう。
何はともあれ、登山道は刈られたばかりで誠に具合が良く、
5年前とは比べものにならぬほど、道標が充実している。
もしかすると、一般守門岳登山道の中では一番良い状況かも知れぬと思う。
深谷のカッチの道標があることを期待したが、「前方の高い所が深谷のカッチ」
という古い板が敷いてあったのみであった。
雨晴峠から深谷カッチまでは30分、そこから中津又岳までは僅か10分、後に15分歩き大岳へ。
大岳山頂で少し休み、平井氏はゴミを拾い始めた。
山頂の草原付近にヒメサユリは数本残っているのみで、ほぼヒメサユリの花期は終了したようだ。
代わって、至る所にニッコウキスゲが群生しており、ガスの中で黄色い色が生えて美しい。
樹林帯の中はひたすらツルアリドウシの花達であり、稜線に出てからはニッコウキスゲである。
ミヤマママコナ・モミジカラマツ・ミヤマシシウド・カラマツソウ・トリアシショウマ・ヤマブキショウマ・オニアザミ・クガイソウ・ソバナ・
イブキゼリ・ミヤマトウキ・エゾリンドウ・キンコウカ・ネバリノギラン・アオヤギソウ・オオバツツジ・ウラジロヨウラク・コメツツジ・
ノリウツギ・ホツツジ・トキソウ・クロヅル・ミヤマウヅラ・などなど、花もそこそこ楽しめた。
行けども行けども回りは充満したガスの中、おまけに雨は降ったり止んだりで、この先良くは見込めない。
 入塩川登山口を出発して、4時間40分、ようやく守門岳本峰に到着した。
入塩川からの距離を考えれば、ここから大原口に下るのは、あまりにも近いと感じる。
三の芝では雪も大分消え、お盆前には完全に雪は無くなるであろうと思った。
ただ、昨年に較べると雪消えは割と遅いようである。
昨年の7月中旬には、三の芝付近ではニッコウキスゲがかなり咲き始めていたが、今年は未だ蕾状態である。
昨年より10日から2週間遅い感じである。
 5日ほど前に、手を怪我し、不自由であるが為に、なかなか手が思うように使えない為、
下りには気を使ったが、何とか山頂から2時間弱で下山した。

今回は、時間的なスケジュールの関係で、入塩川登山口から本峰を目指したが、
逆コースが本来適当であろう。
「大原口から、野鳥の声に励まされ30分の樹林帯歩きをし、エデシ尾根取っ付きに着く。
そこから大雲沢のダイナミックな景観や、越後三山の雄姿を眺めながら急登を登り、
やがて大雲沢源頭を眺める事にできる見晴らし台。
草原の三の芝を経由し、いよいよ詰めの一登りで山頂へ・・。
山頂から北側の飯豊の山々や越後平野や日本海を見ながらの悠々稜線歩き。
勿論南側の越後三山や苗場、妙高・アルプスも眺めながらで、時折花も愛で・・。
大岳からは守門岳の爆裂口を眺めながらの雨晴峠までの稜線歩き。
雨晴峠を過ぎれば、樹林帯ではあるが、幽玄な質感に満たされたブナ林を眺めながらの下山。
疲れた筋肉を少しづつクールダウンしながらの緩登や沢渡り。」
・・こんな守門岳まるごとの山旅もなかなかマニアックで良いかも知れない。

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