5月15日・17日 鳥屋ヶ峰

GWに宿泊されたご夫婦が、前日広神村の鳥屋ヶ峰に登ってきたと言われていた。
鳥屋ヶ峰といえば、およそ聞いた事のある地名であったし、
位置的にも須原スキー場の並びの尾根に違いないとは思っていた。

 国道352号線といえば、一般的には尾瀬への道路として名高い。
その352号線は、小出町で、国道17号線と合流、さらに福島県側へ延びている国道252号線とも合流している。
広神村のJR只見線越後広瀬駅を過ぎると、「滝の又」或いは「種すわら」方面へと左手に道路が分岐している。
そこを左に、「滝の又」方面へと向かえば、即ち、国道352号線にのる。
 広神村と山古志村の境に、滝の又という集落が有るが、その手前に今度ロックフィルダムが出来るらしい。
工事名称は「広神ダム」である。
自分の記憶によると、10年以上前、滝の又集落の手前に「兎畑」という小集落が存在したが、
今はこぞって小出町に移住し、部落は消滅している。
 この「広神ダム」関係の工事で、越後広瀬から滝の又間の悪路は大幅に改良工事が施され、
今は高速道路もどきとなっている。
 国道252号線と、国道352号線の分岐を滝の又方面に5分も走れば、手前に大きなトンネル式シェルターが現われる。
ここを潜らず、左手に折れると、神社が有り、そこに「鳥屋ヶ峰登山口」と、
大きな道標がアスファルト道路の左端に堂々と立っている。
そこをさらに車で数100m走ると、畑に到着する。
畑の向こうには、先程述べた広神ダムの工事の轟音が鳴り響き、良い感じはしない。
そこから、ゲートのようなものが施されており、いかにも、「鳥屋ヶ峰登山口」にふさわしい演出となっている。

今から、約1ヶ月ほど前、最近御贔屓にして頂いているお客様より、ネイチャーガイドをして頂きたい旨の予約があった。
コースは大雲沢ヒュッテにお任せ・・という。
土曜に半日と日曜日半日という感じのスケジュールらしく、登山ではないらしい。
それで、GWに宿泊されたお客様の「鳥屋ヶ峰」というコースがピンと来たのである。
その様子を見に行こうと、15日は用を終わらせ、15時45分より歩き始めた。
誰も来ないのか、登山道の山菜も採られた痕がない。
GWに来られたお客様の話をうろ覚えで反芻した。
「2時間程度」で到着した・・・との話であったような気がした。
したがって、頑張れば1時間30分くらいでも着けるのではあるまいかとの期待もあった。
「一本杉」までは、色々と神社や、車道などが入り組んだりしており、
たわいも無いハイキングコースなんだろとの御気楽ムードが漂っていた。
杉は数本あったが、「一本杉」を過ぎると本格的な山道となり、アップダウンも有り、急登も結構有った。
 花は僅少で、既にイワカガミやユキグニミツバツツジは終わり掛けていた。
替わって、ヤマフジやタニウツギの花が盛りを迎えようとしていた。
幾度となくアップダウンを繰り替えすと、1時間15分位のところで、いきなり空腹に襲われた。
生憎全くの坊主で来たので、道端の草でも食うしかない。
おそらくであるが、鳥屋ヶ峰の山頂は、あともう少しで着くと思われたので5時も回っていたので、引き返しに掛かる。


1日置いて、17日、9時56分にお客様は浦佐駅に到着すると言うことで、迎えに出た。
懐かしい面々にお会いし、挨拶をする。
前回3名の方が当大雲沢ヒュッテに来て頂いたが、今回は、新たに、
かつてはネパールで高所登山などをやっていたと言う方が参加されていた。
今は、その際の事故的大病が原因であまり無理は出来ないという体調だとおっしゃっていた。
そんなことも有り、ゆっくりと歩を進めながら歩き始めた。
ところどころにイワカガミの花々が残っている程度だが、お客様は喜んでいた。
ナラの木には、チャドクガの幼虫のような毛虫が沢山群れており、気持ちが悪い。
とにかく多い。
昨年多かった、ブナのエダシャクの大発生や、モミジカエデ類の害虫は今年は見られない。
しばらくはいずれにしてもこの柔らかい新緑のうちに、食べておかなければならないのだろう。
 話は飛んだが、出発は10時35分で有り、約1時間後昼食休憩をとることにした。
お客様手作りのフルーツケーキを馳走になる。
オレンジピールなどのフルーツも全部自分で漬け込んだというのだから驚く。
かつて、私も洋菓子職人だった事も有り、パウンドケーキやマドレーヌ、シュークリームはよく焼いた。
今はケーキも色んな形になり、かなり変遷を遂げてきたようだが、こういったフルーツケーキは、
いつの時代も代わる事がなく、歴史を感じさせる。
特に、こういった登山などでは、カロリーも高いので重宝されるのであろう。
 昼食休憩後、ハイキングコースは一転して、登山コースという感じで急登が続く。
基本的に春霞の掛かったどんよりとした晴天で、気温も高かったが、
たまに稜線を良い風が通り、救われた気分になる。
ゆっくり歩を進めて歩き、3時間弱で鳥屋ヶ峰の山頂と思われる場所に到着した。
鐘が有ったり、標識のようなものがある。三角点も・・・。
この先にも未だ山道が続いているので、様子を見に自分だけ歩き出す。
山頂と思しき所に有った標識案内の一部に、孫太郎池なる矢印が有ったが、
途中に小さな池が有り、それだと解かる。
変哲も無い池だが、とりわけこのコースには変化も無いので、久々の池と言うことで命名されたものであろう。
池を過ぎると巨大なフェンスが有り、軽トラックが1台停車していた。
要はここまで車が来れると言う事なのだ。
ところでこの巨大なフェンス、おそらく雪庇を予防する為、即ち風除けなのではあるまいかと予想するが、どうだろう?。
 折り返し、お客様のところまで戻り、フェンスの所から須原スキー場の方に下りますか?と尋ねると、
同じコースよりも違う方向に行きたいというので、私一人だけ同じコースを戻り、車を回走することにした。
お客様と落ち合う場所を決め、自分1人でピストンで帰る。
丁度1時間ほどで、大雲沢ヒュッテのバスの所まで要する。
急いで車を走らせ、いざ須原スキー場山頂まで向かう。
鳥屋ヶ峰登山口から、約15分で須原スキー場に着いた。
聞けば、お客様も今ほど着いたばかりだという。
 土曜日にも関わらず、誰も会うことのなかった鳥屋ヶ峰登山道。
多くの登山者が山に行ったであろうこの日。
鳥屋ヶ峰登山道は私達5人の為だけにあった。

神社の脇の道路に道標がたっている 畑が有り、左眼下にはダム工事の轟音がある
これも神社だそうである 数本杉はあったが、一本杉という地名
登山道の眺めの良い所から望む越後三山 山頂の三角点と鐘

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